自宅の任意売却(オーバーローン)

高野義憲

住宅ローンの返済が困難になってしまった場合の、自宅の任意売却(オーバーローン)について、簡単ではありますが、以下に記載しています。
住宅ローンを滞納した場合の手続きの流れ、任意売却について、任意売却と競売の違い(メリット・デメリット)などです。

誠に申し訳御座いませんが、現在は人手不足のため、債務整理等業務については新規の受付を控えさせて頂いております。
以下は一般的な手続きのご説明として、ご参考頂ければ幸いです。 

住宅ローンを滞納した場合の手続の流れ

ごく簡単に手続きの流れについてご説明しますと、住宅ローンの滞納がおおよそ3カ月分~6カ月分になると、金融機関から、いついつまでに返済が無い場合は法的手続き~という通告がきます。
それでも返済が無い場合、それからがおおよそ3カ月~6カ月後に、自宅の競売の申立がなされ、裁判所から競売開始決定通知がきます。
競売手続きじたいはおおよそ6カ月程かかります。
入札者(買受人)がすぐに決まれば、強制的に売却がなされて立退かなければならなくなります。
買受人がなかなか現れなければ、手続きが延びることになります。
 

オーバーローンとは

通常、自宅を売る場合には、売買代金等で住宅ローンを完済して、抵当権の登記を抹消しなければなりません。
住宅ローンを滞納している場合に、自宅を売った代金で完済したいと思っても、ローン残高より安い金額でしか買い手がつかない場合には、売ることもできません。
実際、売買価格がローン残高に数百万円届かない事も多くあります。
これを「オーバーローン」といいます。ローン残高が売買価格より上回る(オーバーする)という意味です。

住宅ローンの滞納が続いた場合、金融機関としては、競売手続の入札金額で回収することになりますが、普通に売り出した場合に比べてかなり低い金額しか回収できません。
また、競売で自宅を強制的に売られても、なお残った債務については、免責されるわけではなく、返済する義務はありますので、安くしか売れなければ、多く返済義務が残ることになります。
そうすると、なるべく高く売れるのであれば、その方が両者のメリットになります。

そこで、競売による入札にはよらずに、ごく普通に不動産業者を通じて売り出して、金融機関側としても競売よりはメリットになる金額で買い手が付けば、ローン完済にはならなくても、抵当権登記の抹消に応じて、売買できるようにすることを、「任意売却」といいます。
任意売却も、競売と同じで、売買代金で返済してもなお残った債務については、支払義務が残ります。
多くの場合、数百万円残りますので、それについては、破産申立などで整理する事になります。

なお、破産申立をする場合に、自宅を所有したままで申立てをすると、破産管財人をつけて管財人が売却をするようになります。
ひとつで20万円以上の財産がある場合は原則として破産管財人がつきます。
この管財人の報酬にあてるため、破産申立をする時に裁判所におおよそ30万円の予納金を納める必要があります。
しかし、まとまった金額をなかなか用意できない事が多いです。
20万円以上の財産が無く、管財人がつかない場合(同時廃止といいます)は、申立は1万2千円程で済みます。
そのため、自宅不動産以外に高価な財産(ひとつで20万円以上)が無い場合には、自宅を任意売却で処分してから、その後に破産申し立てを行うことで、おおよそ30万円の予納金が不要になります。

ただし、他にも借入があって、すでに月々の給料が差し押さえられている様な場合には、破産申立をしないとこの差押を止めることができないので、不動産売却を待たずに、予納金を納めて破産申し立てをした方がよいといった場合もあります。
 

任意売却と競売の違い(メリット・デメリット)

まず、任意売却の方が高値で売れる事が多いことです。
競売ですと市場価格の5割~7割程度と言われていますが、任意売却はより市場価格に近い価格になります。
逆に言えば、競売とあまり変わらない価格ですと、すでに競売申立がされている場合、わざわざ競売を取り下げて任意売却に応じてもらえる可能性は低くなります。
最近では、競売も比較的高値でつく場合もある様で、ひと昔前に比べると任意売却に応じてもらえない事も増えたそうです。

任意売却ですと、ある程度高値で売れれば、引越代を出してもらえる可能性もあります。
競売の場合は一切そのような事はありません。
この引越代については、債権者の方で、引越代を出してでも早くこの売買を成立させたいと考えるかどうかなので、常に出してもらえる訳では無い事にご注意下さい。

競売開始決定がなされると、裁判所が屋外屋内の調査に来ますが、その他に、情報を得た複数の不動産関係業者が頻繁に自宅のまわりを見に来るという事がある様です。
任意売却は、通常の売買と同じですので、お願いした仲介業者が訪れるだけです。

 

 

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