離婚に伴う財産分与

高野義憲

離婚の際の「財産分与」は、婚姻中の夫婦財産の精算を主な目的にしますが、慰謝料や離婚後の生活資産の意味合いも含めて分与することもあります。

自宅不動産については、通常、離婚後に住み続ける方に所有名義を移すことになると思います。夫名義のものを、妻が住み続けるため、妻名義に移したり、夫婦共有名義のものを、どちらかの単独名義にするなどです。
以下に、登記手続や必要書類、注意点など記載しています。

疑問などございましたら、いつでもお電話下さい。財産分与登記についても、ご相談は無料です。海老名市、座間市、綾瀬市、大和市、厚木市、相模原市の方はもちろん、神奈川県全域大丈夫です。

財産分与の登記手続

上記の通り、自宅不動産については、通常、離婚後に住み続ける方に所有名義を移すことになると思います。その場合の注意点が2つあります。

①財産分与は、精算であって無償の贈与ではないので、贈与税はかかりませんが、譲受ける方に不動産取得税、分与する方に譲渡所得税が課税される可能性があります(詳しくは次々項目に記載しています)。

②住宅ローン(とその抵当権登記)が残っている場合、通常、ローン(抵当権設定)契約上、所有者に変更がある場合は知らせる義務があります。名義変更する前に知らせておく必要があります。
なお、多くの場合、債務者(借入者)が夫、または夫婦の連帯債務者になっていると思います。妻名義にして夫が出て行く場合には、今後の返済や抵当権の債務者をどうするかについて考える必要があり、場合によっては銀行と相談する事が必要になってくる事もあります。

財産分与登記の必要書類

当事務所にて法務局に提出する書類を作成して、お二方にご署名・捺印を頂きます。名義変更の書類にご署名・捺印を頂く際、お二方とも、ご面談の上頂く必要があります。ただ、ご一緒ではなく別々にご面談することもできます。

分与する方の必要書類

・権利証(登記識別情報)
・実印
・印鑑証明書(取得後3か月以内のもの)
・身分証明書(運転免許証等)
・住民票(登記された住所から転居されている場合のみ必要です。ただし、登記に使用するものであれば、当事務所にて取得することも可能です。)
・土地建物の固定資産評価証明書(当事務所にて取得することも可能です)

譲受ける方の必要書類

・住民票
・認印(シャチハタは不可)
・身分証明書(運転免許証等)

財産分与と税金

財産分与は夫婦財産の精算であって、無償の贈与ではないので、贈与税はかかりませんが、譲受ける方に不動産取得税、分与する方に譲渡所得税が課税される可能性があります。

譲受ける方の不動産取得税

居住用不動産の名義を取得すると、不動産取得税が課税されるのが原則です。土地については固定資産税評価額の1/2の3%、建物については固定資産評価額の3%ですの金額が課税されます。
ただし、結婚後に購入した不動産について、離婚に際して、「夫婦財産の精算」を目的とした財産分与で名義を受けた時には、不動産取得税はかかりません。一方の名義で購入したものでも実質は夫婦共有の財産であったものだから、新たに取得したものではないという考えによります。
そのため、財産分与で名義変更していても、夫婦財産の精算ではなく、「慰謝料として」や「離婚後の生活保障資産として」名義を受ける場合は、不動産取得税が課税されます。
なお、夫婦財産の精算ではない場合でも、建物が50㎡以上で、木造で築20年以内、マンションで築25年以内であれば、居住用中古住宅の不動産取得税の軽減が受けられます。
名義変更登記をすると、登記所から税務署に通知され、数ヶ月後に税務署から納税通知書が届くと思いますので、その際に減免が受けられるか税務署に相談する必要があります。

分与する方の譲渡所得税

不動産を購入した時よりも財産分与した時の方が価値が値上がりしている場合には、値上がりした分について譲渡所得税の課税対象になります。ただし、これまで居住していた不動産であれば、3000万円までは控除されるため、通常は譲渡所得税がかかることは無いと思います。そもそも購入時より値上がりしている場合も少ないでしょう。

 

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